『ビジョナリー・カンパニーZERO』を読んだ

『ビジョナリー・カンパニーZERO』を読んだ。前回の起業の際にもビジョナリーカンパニーシリーズ本に書かれていることを参考にさせてもらったが、スマートバンクでもコアバリューについて話す機会が増えており、今回新しくでていた、このビジョナリー・カンパニーZEROを手に取ってみた。

本書はジム・コリンズが1992年に刊行した『ビヨンド・アントレプレナーシップ』が元になっており、それがアップデートされた形で出版された本である。 ビジョナリーカンパニー 1 ~ 4 シリーズと違い創業期のスタートアップを分析対象にしているので、我々のようなアーリーステージのスタートアップは参考になるところは多い。

本章は9部構成になっているが、自分の中では、4章のビジョンの項目がビジョンとは何かというのが構造的に解説されていて、他社の事例などものっているので、これから会社のビジョンやコアバリューを定義しようとしている企業には参考になるだろうなと思った。

かくいう自分もコアバリューやミッションを定義したことはあったが、本書を読むことで、それらがビジョンの構成要素であり、パーパスやミッションとの違いが認識できたので、改めてコアバリューがどうあるべきかというのを整理できてとても参考になった。

特に自分達が大切にしてきた 人の欲しがるものを創る という思いはパーパスだったんだなというのが腹落ちできたのが良かった。

ビジョンについて

本書に書かれている箇所から抜粋させてもらうと、ビジョンの各構成要素はフレームワークとして下記のように定義されている。
ビジョンがあって、その先に戦略や戦術が存在する。

ビジョン = [コアバリュー → パーパス(存在意義) → ミッション] → 戦略 → 戦術


コアバリュー

  • 会社の指針となる原則と信条の体系、事業と人生に関する哲学
  • 絶対に遵守されるべき原則
  • 組織のリーダー個人のコアバリューと理念の延長

パーパス(存在意義)

  • 組織が存在する根本的理由、コアバリューから生まれる
  • 組織の行方を照らす星のように、常に努力すべき目標であるが、完全に達成されることはない
  • 100年間にわたって会社の指針となる

ミッション

  • 大胆で説得力のある野心的目標
  • 明確なゴールと具体的期限がある、達成されると、新たなミッションが設定される

日々の業務の中で(例えばMTGとか)議論したり考えることは XXXX の施策を行なって売上をN億円達成するぞ、そのために XX の方針で XX の機能を半年後に作ってプロモーションしていくぞ!といった戦略・戦術的なことが多くなると思うが、戦略 / 戦術こそがビジョンに紐付けられていないといけない。

本書を読むことで、短期的にXXで売上を作ろう、儲かるからAという機能を付けようといった話の際に、その施策の良し悪しではなく、ビジョンに振り返ってそれをやることが正しいか否かを判断することの大切さに気付かされる。

コアバリューについて

自分が初めて就職した会社にもコアバリューがあって、社員に普及させるために色んな施策が行われていた。今振り返ってみると新卒だった自分は正直内容にピンと来ていなかったし大事さにも気付けていなかったと思う。

本書ではコアバリューの重要さについても言及してあり、個人的にコアバリューを会社の遺伝子と表現している一説がお気に入りです。 自分で会社をやってみて、重要さは痛い程よく分かり、コアバリューの存在がメンバーの行動や判断基準、意思決定の礎になると今では理解できます。

また、コアバリューを決めるには、耳障りのいい重要だなと思うことを書き出していくのでは無く、創業者や既存メンバーの価値観や理念を抽出し、推敲に推敲を重ねて言葉として紡ぎ出していくことが必要だと思います。決して『つくる』というものではない、ということを読むことで理解できると思う。

まとめ

この本は他社のビジョン(HPやJ&Jといった今の大企業がスタートアップだった頃の事例も交えて)が例として掲載されている、これから会社のコアバリューや取り組もうとしている事業のミッションを作ろうとしているフェーズの会社は参考になると思う。

本書を読んだ後で、自分もやったのですが、他の会社が掲げているコアバリューやミッションがどういった立て付けで整備されているのかを考えて見ると面白いです。

この本の内容が30年も前に書かれていたというのは結構驚きで、組織のリーダーやスタートアップの創業者達は1度読んで置くとよい良本だなと思いました。