技術コミュニティを立ち上げて運営する方法
概要
私は長くRuby を会社の開発言語や個人プロジェクトに採用し使わせてもらっています、大小の様々なRuby関連のイベントにも参加する中で、地域Rubyコミュニティを運営させていただく機会がありました。 今回は地域Rubyコミュニティを運営することになった経緯や、運営する上での Tips などを紹介していきたいと思います。
地域Rubyコミュニティ
Ruby は地域でのコミュニティ活動が活発なのがいいですよね、都内だと様々なイベントが日々開催されています。そんな中でも自分は Ebisu.rb という恵比寿を中心とした地域Rubyコミュニティの運営を2017年後頃から、約5年させていただき、現在 Gotanda.rb という五反田を中心とした Ruby コミュニティの運営にオーガナイザーとして携わっています。
地域コミュニティ運営の経緯
どちらの地域コミュニティも元々運営されていたオーガナイザーの方々がいらっしゃったのですが、悲しいかな地域Rubyコミュニティは様々な理由で継続されなくなってしまうことがままあります。特に近年はコロナ禍もあり、イベント自体を自粛されていて、コミュニティ活動が止まってしまってるパターンもよく見かけます。
- オーガナイザーの方が何らかの理由で運営できなくなる
- 運営側が多忙で運営コストを維持できない
- 地域から離れてしまうなどで運営が困難になる
- オフライン開催時の会場が提供できない
- LT やコミュニティイベントなどの集客ができない
Ebisu.rb、Gotanda.rb 共に長く運営されていた実績はあったものの、上記の複合的な理由により運営が中断されておりました、そこで私がちょうど恵比寿と五反田に勤務していたのもあり、オーガナイザーの方にコンタクトし運営を引き継がせてもらいました。長く続いた技術コミュニティが無くなるのは勿体ないですからね。
地域コミュニティの立ち上げ方
元々どちらのコミュニティも過去に参加してくださった方々が数十人規模でいたものの、運営が止まって大分間が空いていた為、再始動において一定の熱量とコミットが必要な状態でした。
運営としては
- 気軽に参加・発信ができる
- 参加者一人一人と話せる
- 楽しんで帰ってもらう
を意識しつつ下記のようなことを実践していきました。
イベントの方向性を決める
といっても、そこまで大層なものではありません、過去イベントがどういう形態で実施されていたか、また元々のオーガナイザーの方がどういう方針でコミュニティ運営をされていたのかお伺いし、活動内容を定めました。
特に恵比寿は当時はクックパッドさんや食べログさんといった大企業から小 ~ 中規模なスタートアップが存在していたのもあり、より実践的な技術のTipsやLTを中心とした技術交流を行うコミュニティとして再出発しました。
運営会場を決める
ある意味で一番大変だったのは、コミュニティの基盤となる運営場所を決めることでした。現在はオンラインで開催することが主流ですが、可能であればオフラインでワイワイ交流したいですよね。当時は恵比寿にオフィスがあったので、自社のイベントスペースを開放してイベントを実施していました。 一番良いのは、参加者の方がお勤めのオフィスにて会場提供が可能かどうかを聞いて回ることです。Ebisu.rb は途中から食べログさんがご好意でイベント会場を提供してくださり、そこから運営もお手伝いいただいたりして大変助かりました(なんと、飲み物とか軽食の差し入れも!)
地域のRubyiest を巻き込みながら、コミュニティを大きくしていく醍醐味も味わえたのが良かったですね。
集客する
LTイベントをコミュニティ活動の中心に置いていたので、LTしてくれる登壇者の方を集める必要があります。LTの申込が少ないと参加を躊躇する方も多いかと思います。流れを作るために下記のことを意識して実践していました。
- テーマやカテゴリ等は設けず、LTのハードルを下げる
- 登壇者がいない時は自分で登壇する、所属している会社のメンバーへお願いする
- 会場を提供してくださる会社の方に、登壇の依頼を行う
- イベント実施後、登壇された資料やイベントをできるだけ公開する
特に良いのは、会場提供してくださる会社はプロダクトや会社のPRに繋がりやすいのと、登壇未経験のエンジニア方にとってはハードル低く社外で発表の機会を作れるというのもあり、積極的にどうですか?と聞いたりするのが効果的でした。
また、地味ですがイベントのレポートや発表内容を公開することで、外の人がどんな内容なら話して良いのかを分かるようにして、コミュニティの雰囲気を知ってもらうのも有効です。
その他、雑なTips
小さい施策ですが、より集客効果を高めたり、イベント自体が盛り上がるように下記のような施策も行なっていました。
- Slack や Facebook グループを作成し、そこへの参加依頼やイベントの告知を行う
- 一方的なやりとりだけでなく、参加者の方と運営側がコミュニケーションし、会自体について話せるのがいいですね
- 運営者の間での情報連携もできるのが ⭕️
- イベント開催時はハッシュタグをアナウンスしてツイートをお願いする
- 定番ですが、イベントの様子をTL上で外の人が確認できたり、あとでサマリーとして振り返れるのも便利です
- 懇親会の時間を長めにとる、お酒や軽食を振る舞う
- コミュニティイベントの真髄は参加者間でのコミュニケーションにあると思います。会を盛り上げるためのアクセントとして提供できるといいですね(スポンサードを各社にお願いしたり、食事目当ての人を排除する仕組みは必要ですが)
- 参加人数によって、イベントの内容を調整する
- イベントの参加者自体やLTが少ない場合は、冒頭で参加者間で自己紹介し、Ruby歴や直近困っていること、参加者に聞いてみたいことなどを共有するようにしていました
- LTだけでなく、実践的な情報共有ができたり、参加者の人となりが分かるとまた参加したくなりますよね
After コロナ化のオフラインイベントの重要性
つい先日 Gotanda.rb を約2年ぶりにオフラインで開催させていただきました。集客などの懸念はあったものの30人程度の方々が参加してくださり、非常に盛況に終わったのですが、懇親会で皆さんの話を聞くにオフラインイベントを待ち望んでいた方がとても多かったのが印象的でした。
オフラインで開催されていたので来ました、会社終わりに参加しましたという声が多く、中には五反田外から来てくださる方もいらっしゃり、オフラインでワイワイ話すことへの渇望や機会の無さを実感しました。これからのイベントをやっていくモチベーションにもなり、続けていくやる気が湧いて非常に嬉しかったです。
久々のオフライン楽しかったー
— skycat@Takuya Matsumoto (@skycat_me) 2023年6月21日
話してくれた皆さんありがとうございましたー!
クラフトビールも美味しかった!#gotandarb pic.twitter.com/pYwamotAvy
昨日の #gotandarb いろんな方面で"hack"している人が集まっていて刺激的で良かったな
— ohbarye (@ohbarye) 2023年6月22日
オフライン懇親会もあって"共同体-コミュニティ-"の良さ思い出してきた
地域Rubyコミュニティを運営していて良かったこと
最後に少し、コミュニティ運営をしていて良かった点をあげて終わりにしようと思います。
一番大きいのは、Rubyiest同士のネットワークを広げれることでしょう、コミュニティ活動を通して多くの友人ができました。また副次的な影響として副業をお願いしたり採用の応募につながった例もあり、所属する会社にとって良いことにも繋がっています。 また、自身の登壇機会の創出に繋がったり、発表の内容を見て自分もXXXにTryしようと刺激に繋がることが何度もありました。
あとシンプルに運営していて良いなと思うのは、懇親会などでワイワイ楽しそうに話している参加者の方を見ると嬉しくなりますね!
最後に
これからもRubyにお世話になると思うので、いちエンジニアとして何かしらコミュニティに貢献できるといいなと思っています。こういった活動自体が回り回って自分のためになり、所属する会社への貢献に繋がるとも思っています。
運営が軌道にのると、そこまでイベントを定期的に開催すること自体は大変ではないので、機会があれば読者の皆さんも実践されてみると良いですよ!
Gotanda.rb はオフラインで隔月開催していきますので、良かったら参加してね!