CTO Night & Day 2023 Fukuokaで登壇してきた

このエントリーは 2023/9/12 ~ 13 にかけて行われたイベント CTO Night & Day Fukuoka に参加し2日目に登壇もしてきたので、そちらの振り返り記事になります。もっと早くにエントリーを書きたかったのですが、イベント直後にコロナに罹ってしまったり、10月はイベント目白押しだったのもあり大分筆の遅い執筆となってしまいました。

CTO Night & Day について

イベントがどういうものかは、公式からレポート記事が書かれているので、そちらを見てもらうのが良さそうです。個人としては前職のFablic時代に2 ~ 3回参加させていただき、そこから5年程度は参加していなかったので、かなり久しぶりの参加になりました。参加者が203名と過去最大の参加者だったようです。

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登壇について

今回 Day2 に行われたCTOのしくじり体験を通じた学びを発表するセッションで「なぜレッドオーシャン化する前にサービスをグロースできなかったのか -フリマアプリ編- 」というタイトルで登壇もさせていただきました。これは、私が過去に起業し、フリマアプリを開発・運営していたときの経験に基づいています。

今回の起業(スマートバンク社)ではこのときの経験やしくじりを活かして経営を進化させている部分も多く「しくじり体験を通じた学び」というテーマで考えると、前回の起業のときの話をするのがイベントの場として相応しいのではないかと考えて話すことにしました。

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詳しくは、資料にもまとめているのですが、以下簡単にサマリーを置いておきます。

教訓1 - PMF後は速やかに、ビジネスモデルにそった形でサービスを拡大させる -

フリマアプリはPMFが早く、あっというまにレッドオーシャン化しました、また CtoC のマーケットプレイス型のビジネスモデルは勝ち筋として、より大きいプラットフォームが覇権を握ることになります。

少し一般化すると...

  1. ビジネスモデルがどういった勝利条件になっているかを把握する
  2. 上記に沿った形で競合よりもプロダクトのグロースするスピードで上回る
  3. 資金や人材を競合よりも先に確保する

ということが大事で、 市場のシェアが取れているうちに競合に追いつかれるより早いスピードで兵站を揃え、サービスをグロースさせようということを伝えさせてもらいました。

  • 先行者優位で過ごせる期間は意外と短い、上手くいっているサービスは模倣され、機能価値はコモディティ化する
  • 市場の勝利条件を把握し、そこにリソースを集中投下する
  • 競争が激化するまえに、優位性を活かした大型の資金調達を行う

教訓2 - 強い経営チームを作る -

当時はPLを意識した経営スタイルで会社運営をしており、調達した資金を元にしたBSを使った施策等に関してはあまり積極的ではありませんでした。テレビCMや手数料を無料にするといった大胆な施策が行えていなかった、そういった発想もできなかったという反省があります。

創業者 = 会社の成長のキャップになっており、創業者にない会社に必要なケイパビリティをもった人材を採用し、強い経営チームを作ることの重要さを伝えさせてもらいました。

良い人材を採用するというのはどの会社においても基本かと思いますが、まずは創業者や取締役が意識して強い経営メンバーを自ら採用することが大切かと思います。

  • 創業者に無い発想や、よりリスクテイクできるような経営チームを構成し、自分たちを補完 /上位互換してくれる有能な人材を採用する
  • 創業者や経営チームの中で、耳の痛いことを言ってくれる人材を採用する

教訓3 - 権限移譲を早く行う -

個人の実感としてもそうですが、会社やプロダクトのステージが変わり役割が変わったことへの適応や、自身の仕事を移譲し任せるといったことが素早くできていなかったと感じています。

  1. 現在の自身の期待役割が何かを把握する
  2. 役割が変わったのであれば、それに適応し持っていた仕事を適任者に移譲する
  3. 適応できないのであれば、席を適任者に譲る

発表では上記を伝えさせていただき、また書籍 HARD THINGS にて書かれている平時と戦時でも経営者の役割が変わり、それによってCTOの振る舞いの性質も変えた方が良いという点も伝えさせてもらいました。

  • CTOの役割も変化するPMFが終わった後は速やかに組織を拡大させる
  • 役割の変化に伴って適切に権限を移譲していく
  • 戦時のCTOとしてのマネージメントやリーダーシップも時には必要

ネットワークを築くことの重要性について

こういったイベントの本当の価値は、有益なセッションを聞いて学びを得るということも勿論あるのですが、それ以上に参加者の皆さんとのつながりを作り、それをどのように自身の仕事に活かしていくかが重要だと思っています。

というのも、振り返った上記の教訓を達成する上でも社内だけの情報では不十分で外部のネットワークから得た知見や情報を参考にしたり、ネットワークを活かした採用なども実施しないといけないと感じた原体験からそう思っています。

若い頃はそういったネットワークを築くことの重要さに気付けていなかったのですが、今では意識してネットワークを広げ、関係を築いていくことが、ある意味もっとも重要で自身の仕事の一部だと断言できます。

イベント後も発表を聞いてくださった方から、感想や個別にご相談の連絡を頂いたりと新しいつながりを沢山作ることができました。こういったリアルなフィードバックやアドバイスはなによりもありがたいなと感じています。

最後に

今回、オフレコイベントだったこともあって結構赤裸々な発表をしたので、この資料も公開するか躊躇しておりましたが、登壇を聞いてくださった方からぜひ資料を公開してくださいというお声や、このまま眠らせるのも勿体無いと思い公開することにしました。結果多くの人に見ていただけたようで大変嬉しく感じています。

自らの失敗を公開するのには多少勇気が入りますが、FBをくれた方や良かったと言ってくれる人がいて励みになります。
この体験が、日々さまざまな壁に立ち向かう皆さんにとって何らかのヒントや参考になれば幸いです。

自身が良いネットワークを作る上でも、有益な情報を引き続きコミュニティに提供していきたいなと思っているので、なにかお役に立てることがあればお気軽にご相談ください!