以下は2017-12-22に会社(Fablic, inc.)の技術ブログinFablicに投稿した記事(http://in.fablic.co.jp/entry/2017/12/22/172546)になります。
inFablicが閉鎖され閲覧ができなくなってしまったため、会社の了承を取った上で転載しております。
元記事にリンクを貼っていただいていた方に対しては大変お手数ですが、こちらにリンクし直していただければ幸いです。
これは Fablic Advent Calendar 22日目の記事です。
こんにちは Fablic でCTOをしている @yutadayo です。
ここ1年程は採用や福利厚生、会社の制度設計に関わることが多く、エンジニアとしての人権は失いつつあるこの頃です。
みなさんの会社では面接はどのように行われているでしょうか?
面接の目的は 候補者の方がチームに加わった時に、どのぐらい力を発揮できるか予想すること にあると思います。
しかし、限られた時間の中で、候補者の方の人となりや能力を正しく測ることは困難を極めます。
あなたの会社では面接の担当者は決まっていますか?
候補者の方に質問する内容は同じですか?バラバラですか?
候補者の方々を全て同じ基準で判定していますか?
面接に仕組みがあれば、候補者と面接者双方にとって、よい体験になると思います。
今回は 採用
をテーマに Fablic が取り組んでいる構造化面接の紹介をしたいと思います。
背景
- Fablic では採用に取り組む際に参考にした会社があり、それは Google です。
- 採用活動をどうすればいいかという難しい課題に対して、一番採用について進んだ考えを持っている会社の仕組みを模倣する所から始めました。
- 具体的には以下の参考図書や Google で実際に働いている方々に可能な範囲で情報をもらい、自社の採用活動に取り入れることにしました。
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構造化面接とは?
- 構造化面接は予め評価基準や質問項目を決めておき、決まった手順通りに実施していく面接方法になります。
- 新しいものではなく、カウンセリングや調査研究などで古くから用いられている手法です。
構造化面接のメリット
評価基準に対して決まった質問をすることで面接官の主観での判断をできるだけ排除し 面接官による評価のバラつき
を無くすことができます。面接官が自由に質問する非構造的面接は採用で行うには不向きという研究結果もあります。
また、面接の流れ自体をシステム化でき、質問が予め決められているので、面接官を柔軟にアサインすることができます。特定のマネージャーや、人事の〇〇さんなど面接官を選ぶ必要はないのです。
Fablic でのやり方
Google の構造的面接は 行動面接
と 状況面接
の2つを組み合わせて行われているらしく、Fablic でもこの2つの視点から面接を組み立てています。
行動面接は候補者の過去の行動を掘り下げる質問を投げかけていく面接のことです。「XXした経験を教えてください」といった質問に対して、当時の状況や課題、どのような行動を取り、どのような成果が出たのか、順に掘り下げて聞いていきます。
状況面接は 「もし、○○だとしたら、どうしますか?」という具合に、設定された状況に対して、どのように考え、行動するのかを答えてもらうものです。
質問作成のコツ
いきなり構造化された質問を考えるのは非常にハードルが高いです。 自力で作るのが難しいとお考えの方はアメリカ軍人援護局のウェブサイトを参考に質問を組み立てて見ましょう。
私も、最初はサンプルを元にしつつ、徐々に会社独自の項目に変えていきました。 カテゴリとレベルに合わせた質問のサンプル集が公開されているので、とても参考になります。
Level | Type | PBI |
---|---|---|
I | Creative Thinking | Tell me about two suggestions you have made to your supervisor in the past year. How did you come up with the ideas? What happened? How do you feel about the way things went? |
I | Creative Thinking | Tell me about a specific time when you made a suggestion to improve the quality of the work done in your unit. Tell me about a specific time when you made a suggestion to improve the efficiency of your unit. |
II | Creative Thinking | Tell me about a time when a co-worker had a good idea and you agreed but no one else was willing to listen. How did you handle the situation and what was the outcome? |
III | Creative Thinking | What projects have you started on your own? Why did you start the projects? What did you learn from doing the projects? What were the results? |
I | Customer Service | Give a specific example of a time when you had to deal with an angry customer. What was the problem and what was the outcome? What was your role in diffusing the situation? |
I | Customer Service | Tell about a situation at work where you realized a person needed help. How did you realize the person needed assistance and what did you do? What was the outcome of this situation? |
※ サンプルの一部です。
運用のポイント
それでは、構造化面接を実際に行い、気をつけている運用ポイントを紹介していきましょう。
質問は事前に人事が用意する
構造化面接のデメリットとして、準備に非常に工数がかかるのが難点と言えます。 しかし、有効な質問として設計するためにある程度工数を割いて人事が質問を作成しています。
事前に候補者の方々に課題解決の簡単なエピソードのサマリを人事がヒアリングし、それをベースに決まったフォーマットに沿って質問項目を作成しています。
回答を用意されても困るので、聞きすぎはよくないですが、職種やポジションによって最適な質問が異なるのと、限られた時間の中で質問を繰り返すので、面接がスムーズになるようにそうしています。
上記は、弊社で実際に使っている構造化面接のフォーマットのサンプルです。
※ Google では qDroid
という質問を自動で作成してくれるツールがあるそうですね、すごい!
面接官は2人1組で
構造化面接を行う面接官はメインとサブという形で常に2人で候補者の方にお会いするようにしています。
メイン担当が候補者の方へ質問をします。サブ担当は候補者の方の回答の書記やメイン担当が適切に質問項目を網羅できているかなどのチェックを行います。
質問に漏れや、回答をもう少し掘り下げた方がいい場合に、補完的に質問も行います。
きちんと、質問し回答を引き出すことに集中すると、メイン担当はそれだけで手いっぱいになるので、役割を分担して面接に臨んでもらっています。
構造化面接は面接官を柔軟にアサインできる所がメリットと書きましたが、何回か面接を行なった中での知見としては、決められた質問の中でも、文脈を読んで質問をしたり、質問項目に沿った回答かどうかを見極めないといけないので、面接官としての一定のスキルは必要なことがわかりました。
面接のフィードバックとナレッジ蓄積
面接が終わったあとは、日が経つに連れて面接の記憶は薄れてしまうので、原則として即日にFBを管理ツールに入力してもらうことにしています。
各質問ごとに設定されている、採用基準に対して、それぞれコメントと評価を書き込んでもらうようにしています。
具体的にコメントを書いてもらうことで、どういう要素が良かったのかがはっきり分かり、また管理ツールにフィードバックを残してもらうことで、次の面接官の人が評価を参考にすることができます。
Fablic では採用の管理ツールに Lever というツールを使っています。
候補者の方々のステータス管理や、面接スケジュールの調整、レポーティングなど基本的な機能が揃っているのでオススメです。
各面接における質問や評価の項目を独自にカスタムできるので、構造化面接の質問項目に合わせてフィードバック項目を作成し管理しています。
まとめ
以下に構造化面接を約1年半ぐらい実施してみた感想をまとめてみました。
- 人によって評価軸が異なる、あの人だと選考が通りやすいなどの評価のバラツキをある程度クリアにすることができるのが良い!
- 面接を通して候補者の方としっかりコミュニケーションすることになるので、候補者の方々の満足度も高いようです。
- ※ 実際に選考を受けて、入社をしてくれた社員の意見
- 面接の流れをシステム化でき、面接に型を作ることができます、構造化面接以外にも技術面接など他の面接と組み合わせて、総合的に候補者の方の評価ができます。
- 運用の工数が高いのがやはりネックです。準備や面接官への共有、フィードバックの記載など、構造化面接を成立させるためには、全社レベルでの採用への協力が必要と言えるでしょう。
いかがだったでしょうか。
せっかく興味をもって自社の選考を受けてくださる候補者の方々にとっても、面接には真剣に取り組まないといけません。 構造化面接だけで、候補者の方の全てが測れるわけではないですが、納得度の高い面接を実施することはできると思います。
大事なのは自社の採用プロセスがうまく回っているかを定期的にチェックすることです、Fablic でも面接の質問を変えて見たり、選考の質を落とさずに、時間を短くできないかなど、試行錯誤を繰り返しています。
このエントリーが採用に悩む人事担当の方や、面接官の方々の参考に少しでもなれば幸いです。